幼稚園の芋ほり以来、数十年ぶりにサツマイモを収穫しましたので、せっかくなのでサツマイモを深堀りしてみましょう。
サツマイモはどこから来たの?
サツマイモは中南米原産とされ、日本へは17世紀の初めに中国から琉球にもたらされ、薩摩に伝わり「薩摩の芋」として全国へ広まりました。
江戸時代に西日本の大飢饉でも餓死者を出さなかったことから、救荒作物として重要視されるようになり栽培が奨励されました。
サツマイモは荒地でも育ち、繁殖力も高いことから、飢饉のたびに我々のご先祖を救ってきたようです。
驚くべきサツマイモの栄養価!
さつまいものほとんどは炭水化物とイメージする方が多いのではないでしょうか。
じつは、骨や歯を形成するカルシウムは白米の7倍、
皮膚や粘膜の働きを助けるビタミンCはりんごの7倍、ナトリウムの排出に作用し高血圧を防ぐカリウムはトマトの2倍、
とさまざまな栄養成分を豊富に含んでいるのです!
さつまいもは加熱してもビタミンCを逃さず摂取!
ビタミンCは熱に弱い性質の栄養素だというのはよく知られたこと。たとえば、ブロッコリーはゆでることによってビタミンCの量が140mg→50mgまで減少してしまいます。加熱調理はビタミンCを大幅に失うことになるのです。
しかし、さつまいもにおいては加熱調理も問題なし!
加熱によってさつまいもに含まれるでんぷんが糊化し、ビタミンCを保護。熱でも破壊されず摂取することができるのです。
さつまいものビタミンCは、レモンなどの柑橘類にも負けないほどで、さつまいも1本(約200g)を食べれば、1日に必要な量をほぼ摂取できます。
また、血行促進をサポートするビタミンEも白米、じゃがいもと比べて多く含まれています。
またサツマイモは低カロリー、低脂肪食品で、炭水化物が脂肪に変わるのを抑える働きもあるので、ダイエット効果も期待できます。
豊富な食物繊維とお通じを良くする「ヤラピン」が便通改善に!
さつまいもに含まれる「ヤラピン」と呼ばれる成分は、腸の働きを助ける緩下剤として作用します。
ヤラピンは生のさつま芋をカットすると断面から出てくる白い液体。
ヒルガオ科の植物に含まれていますが、野菜ではさつまいもだけに含まれる物質なのです!
ヨーロッパや南米では、民間伝承薬の下剤として利用されてきた歴史もあります。
さつまいもに含まれる食物繊維は、セルロースという細胞壁の主成分であり、腸内でもほとんど分解されないことから、腸壁を刺激して整腸作用を発揮し、便秘解消が期待できると考えられています。
食物繊維を多く含むことで、便秘解消だけでなく、血液中のコレステロールを低下させる作用や血糖値をコントロールする働きもあります。
そのため、薬膳では糖尿病の食餌療法にも用いられることがあります。
皮はむかずにそのまま食べることで、お肌を元気にするポリフェノールを摂取!
さつまいもにはお肌を元気にするポリフェノールも豊富に含まれています。ポリフェノールとは、植物に含まれる苦みや渋みの成分のこと。
さつまいもは、表皮から5mmほどの部分に全体量の約80%のポリフェノールが含まれているため、調理する際には皮つきのまま食べるのがオススメ!
ニキビの予防や傷跡の回復に効果があります。
また、濃い黄色やオレンジ色の品種はβカロテン、紫色の品種はアントシアニンが豊富。どちらも抗酸化機能を持つ色素で、動脈硬化やがん予防によいとされています。
東洋医学的に観てもスゴいぞ!サツマイモ!
東洋医学でいうとサツマイモは「平性」といい身体を温めたり、冷やしたりする作用がなく、どんな人にもおすすめです。
サツマイモの関連する臓腑経絡は、脾経・腎経で胃腸の働きを高め、生きるためのエネルギー源である気を補うといわれています。
全身に疲れを感じている時、食欲が出ない時、元気が出ない時に食べると良いでしょう。
ただし、食べ過ぎると腸にガスが溜まりやすいので食べ過ぎには注意してください。
以下のような効能があるとされています。
■便秘予防
■大腸ガン予防
■風邪予防
■ストレス解消
■高血圧予防
■解毒作用
サツマイモの御三家
安納芋・紅はるか・シルクスイートがサツマイモの御三家と呼ばれています。
全体のバランスがよく総合力NO.1の安納芋・甘さNO.1の紅はるか・なめらかさNO.1のシルクスイートというイメージです。
今回収穫したのは紅はるかとシルクスイートなのでこの2つを解説していきます。
紅はるかについて
品種登録されたのが、2010年と新しい品種です。
サツマイモ本来の昔ながらのおいしさに蜜を加えたのかのようなスイーツ並みの甘さが特徴の紅はるか。
安納芋に匹敵するなめらかでねっとりとクリーミーな口当たりで熱を加えた糖度は50度にもなるとされる甘さが人気の品種です。
シルクスイートについて
シルクスイートが品種登録されたのが2012年とかなり新しい品種となります。
紅はるかの糖度50に対してシルクスイートの糖度は8程度とすっきりと上品な甘さです。
紅はるかとの一番の違いは、「食感」です。
シルクスイートは水分量が多くなめらかな舌触りが特徴です。
安納芋や紅はるかに比べると生産量が少なく人気の品種なので、もしスーパーや直売所で見かけたらほかの品種と食べ比べてみてください。